映画「プレシャス」追伸 史上初の男性嫌悪映画だという内田樹のブログについて

昨夜、風呂につかって権太楼寄席で笑いすぎてよじれた腹の皮を癒しながらラジオを聴いていたら「プレシャス」のことを評論家らしき人が話している。
「息もできない」も見た数日後に同じことがあった。
どちらも衝撃を受けた映画だった、そのラジオの話が面白くて共感できた。
夜遅くに風呂につかることが珍しい上にこんなラジオを聴くのも珍しいのに不思議な暗合だ。

その「プレシャス」の話の中で内田樹がどこかに書いた評論のことに触れていた。
この映画が男性不在映画だというようなことだった。
俺もそのことに何かの意味がありそうだと感じていた。
教師がレズビアンであるという設定にも。
「息もできない」でも父親の不条理な暴君がキイーで少女がそれに対して新しい人生を生きていこうとする。
父親=男性の有害性、または不要性?そういう時代?
でもそれ以上は考えないで寝てしまった。
そうしたらさっきAさんがメールで「内田樹の研究室」に「プレシャス」について興味深い言及があるから見てご覧と教えて下さった。
もちろん昨日のラジオのことなどとは無関係だ。

初めて「内田樹の研究室」を読んでみた。
とても面白いからお知らせする次第。
『プレシャス』は、アメリカ社会に深く根ざし、アメリカを深く分裂させている「性間の対立」をどこかで停止させなければならないという明確な使命感に貫かれている。その意味で、本作は映画史上画期的な作品であると私は思う。その歴史的な意義が理解され、定着するまでには、まだしばらくの時間を要するだろう。だから、「映画史の潮目」の生き証人になりたい人はこの映画を見ておく方がいいと思う。
さらに
本作の政治的意図は誤解の余地なく、ひさしく女たちを虐待してきた男たちに「罰を与える」ことにある。
とも。

興味のおありの方はその評論をお読みください(「内田樹の研究室」という文字列をクリックすればアクセスできます)。
そして生き証人になって下さい。
Tracked from 書店保安員のノート(旧 .. at 2010-05-03 22:24
タイトル : 映画『プレシャス』
 『オーケストラ』を観る予定だった。面白い映画らしい。しかし『プレシャス』は観る必要がある映画らしい。ネットで予告編を観たが重苦しい作品のようである。気が進まない。楽しむか考えるか。楽しみたいが私もブロガーの端くれだ。ブログのネタには考える映画の方がいい....... more
Commented at 2010-05-02 17:22
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-05-02 17:40
鍵コメさん、ぜひぜひ!
Commented by junko at 2010-05-02 18:18 x
Ciao saheiziさん
へ~~奇妙な合致ですね
不思議な感じ
私の周りだけかもしれないけど、最近こちらでもそう言った話題が出ます。
男性も女性も社会が決め、私たちに押しつけた変な男女の規範みたいなものを忘れて、お互いに目覚めなければいけないんじゃあないかなあと
もっと自由にね
そしてどちらかというと女性のほうが男性よりも目覚めはじめてる、気がします。
Commented by yukiwaa at 2010-05-02 20:38
男女の事ではアメリカは(西洋)は日本よりはズート先進国と思わされてきたけれど、何となく、気づき始めていたのよね、アメリカの女の地位は似非もんかと、、、レディーファーストで騙されていたのは単純なアメリカ人なら<さもありなん>ですね。アメリカが自国の恥部をさらけ出してきたのは、ベトナム戦争からのようなきがします。
極端で、単純な発想は確かにそうだと思う。
<男にはアメリカを「住みよい社会」にする仕事において果たす役割はほとんどない。>
今までの世界のおまわりさんを果たしてきたアメリカの男達への警告かもしれないですね。
<アメリカ男性よる伝統的なアメリカ的男性中心主義文化の否定。>
アメリカ人が見失ってきたものが、この言葉だけでは解決できない。彼らは多くのモノを見失い、それが伝統をも見失ってきたのかもしれない。


Commented by saheizi-inokori at 2010-05-02 21:34
junko さん、私はジェンダーについて不勉強です。今までは不勉強でもすんだかもしれないけれど世界は否応なくこの問題に直面しているのかも知れません。
Commented by saheizi-inokori at 2010-05-02 21:42
yukiwaa さん、男性・白人優位でやってきた国が自信を失い始めたのですね。
Commented by sweetmitsuki at 2010-05-02 22:35
男性に酷使されてる女性を扱った落語といえば「厩火事」でしょうか。
でも、お崎さんには憧れちゃいます。
愚痴を聞かされた仲人に「あんな男とは別れちまえ。」と言い返されたらマシンガンのようにまくし立てたり、言われた通りに骨董品を壊したら「あんた、猿じゃなくて物干しだったんだね。」「なに訳の分かんない事言ってんだよ。」「本当にお宝よりも私の方が大事なの?」「当たり前じゃないか(以下略)」なんて・・・
日本は何百年も前に潮目を通過してたのでは。
Commented by saheizi-inokori at 2010-05-02 22:47
sweetmitsuki さん、おさきさんは酷使はされてないのでは?
むしろ生き生きと楽しい人生。
好きな男の浮気を心配してるけど、それも歯ががたがたになった頃の話ですから。
ご飯はどっちがつくってるのかな。
落語では女郎の話なども出てくるけれどたいてい普通に弱い女性ではなくて男を手玉に取ったり(「品川心中」「三枚起請」など)男に惚れられるいい役(「杯の殿様」「紺屋高尾」など)が多いですね。
Commented by kaorise at 2010-05-02 23:23
これは精神的な自立の問題でもありますね。
罪深いのは男だけじゃない、男と共依存関係を結ばないと生きていけない、それを幸福と勘違いする女は同じように罪深い。
男でも女でも人間として自立していない、しようとしない人は、自分で自分を認めるための弱者を必要とします。
結局、彼らのひずみは子供に受け継がれる。
もともと彼らだってそのひずんだ感性を親から受けついでいるはずなんです。
どこかの時点で、愛とは、家族とは、ただ一緒にいてなれ合って共依存関係を結ぶことではない、と気がつかなければ、停滞したまま一生を終わると思います。
これは会社などの組織と個人の関係も同じではないか、と思います。
Commented by saheizi-inokori at 2010-05-02 23:30
kaorise さん、おっしゃる通りでしょうね。
ただ自立を阻む社会的システムとか男性の存在も大きいでしょう。
可愛い女であることを求める世の中。
最近は可愛い男が増えてきたようですが^^。
Commented at 2010-05-02 23:40
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-05-03 09:06
鍵コメさん、ありがとう。
いろいろやってみます^^。
Commented by c-khan7 at 2010-05-03 14:00
アフリカ系ならではの男女格差があるのでは?
アリスウォーカーのカラーパープルも南部のアフリカ系の女性の自立を目指す物語だったのを想いだしました。
Commented by saheizi-inokori at 2010-05-03 15:10
c-khan7 さん、「カラーパープル」を読んでないのです。
アフリカ系ならではの格差、余りそれは映画では感じませんでした。
話はとびますが「われらが歌うとき」という小説はお読みになりましたか。
http://pinhukuro.exblog.jp/10196524
Commented by c-khan7 at 2010-05-03 19:32
読んでいません。ものすごくデリケートで、大きな問題を秘めた話ですね。saheizi文庫の蔵書の多さにタマゲます。
「われらが歌うとき」頭に叩き込みました。。。
Commented by saheizi-inokori at 2010-05-03 23:05
c-khan7 さん、相当読みでがありますがそれだけのものがあります。
挑戦してみてください。
私は殆ど忘れています。
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by saheizi-inokori | 2010-05-02 15:45 | 映画 | Trackback(1) | Comments(16)

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