子どもたち、健やかに育てよ! 映画「フローズン・リバー」
2010年 02月 10日
ギャンブルで家庭崩壊させる夫を“追い出して“15歳と5歳の兄弟を養う。
老朽化したトレーラーを買い替えるために蓄えた金を夫が持ち逃げしたため手付1500ドルも無駄になりそうだ。
子どもたちは毎日朝晩ポップコーンだけの食事。
1ドル2ドルを探しては昼食代に渡す姿には子どもの頃のわが母が重なった。
先に希望がないようでも背筋を伸ばして子どもたちを愛し、働きたいという長男をどやしつけながら勉強を続けさせる。
下の子(かわいい!)のクリスマスプレゼントを買おうと俺おれサギを働く長男なのだ。
パパが出て行ったのはママがきつく当たったからと責めもする。
レイはモホーク族の女・ライラと不法移民をトランクに隠して凍りついた川を渡る。
ひとり1200ドル、新しいトレーラーを買う金をためるまでは続けたい。
子どもたちにもっと食べさせてもやりたい。
ライラは生活能力がないと生まれたアカンボを義母に取り上げられている。
夫は川に落ちて死んだのだ。
彼女も金をためてアカンボを引き取りたい。
法律、国境、白人と先住民族、酷寒のセントローレンス、、子どもを育てるためにレイとライラは多くの川を渡らなければならないその川はいつ割れてしまうかも分からないけれど。
不法移民を仕切るギャングどもに対しても一歩も譲らず、家長として子どもを見守る姿には犯罪者のイメージはない。
どこやらの経済大国にうようよしている、外では保身に汲々とし家に帰ればボケっとテレビを見ているような腰ぬけ旦那など足元にも及ばない”男らしい“レイだ。
しかし単に金を稼ぐための苦闘というだけではない。
不法移民しなければならなかったパキスタン、中国、、からの人びとに対する監督の眼差しには同情とそんな状況への怒りを感じる。
とくに死にそうになったアカンボを救うエピソードはこの映画の一番の見せ場だ。
貧困、男の不在・責任放棄、家庭崩壊、障害(ライラは目が悪い)、悲惨な現代的状況に生まれてきた子どもたちのなんと可愛いことか!
これだけ毅然とした母親の愛に包まれていることだけが彼らの幸せ、それは現代にあってはもっとも得難い幸せかもしれない。
単調にみえてそれが一層厳しい自然・環境を感じさせるような映像がいい。
派手なアクションなどはないが静かに進行していながら(その故に)スリリングなストーリー展開も素晴らしい。
かつてニューヨーク州最北部というところに行ったことがある。最南端にあるビッグアップル=ニューヨーク市の絢爛と繁栄の世界とは対極にある場所だ。冬木立ちの中ただひたすらまっすぐに走る道路、侘しい閑散とした街、流行という意識はどこにもないだろう服装とそれに輪をかけてうらぶれた表情の人々。 そんなところに住む毎日の食もぎりぎりのトレーラーハウス生活をする白人女(1$ショップで働いている)と、ビンゴ会場の採点係をするインディアン女(そういう人たちがこの地に本当にたくさん存在する)を取り上げて映画にするとは...... more
最近、映画に疎くなっている。ありがとう、
忙しい・・・・
いい映画でしたね。
あまりに救いのないストーリーに、どうなることかと胸が痛くなりましたが、一筋の希望が暗示されて映画は終りました。
悲惨な現実を直視しつつも、それに寄り添い、なんとか希望を見出そうとする、ケン・ローチやダルデンヌ兄弟の映画に通じるものと同質の感動があって、とてもよかったです。
佐平じさんもきっと観るだろうなと思っていました。
気になります。
きっと彼らはいい大人に育つと思います。
もう役には立てないけれどせめて自分の考えは深められるなら深めていきたいしそれを人に語ることで何かがあるかもしれないと、思うというより感じているのでしょうね(人ごとみたいだけど)。
映画の主人公はおっしゃるとおり戦う母親です。
日本だと守る、または耐え忍ぶ母が多いですね。
湯豆腐を食べているときも、、日本人を享受してますよ^^。