気高く清く 静かに咲いていた、、かったけれど

毎朝ひと区切りがつくとパソコンの前に座ってNHKFMを聴く。
童謡とか文部省唱歌をやっている。



こういう時間を持てるだけでも隠居になれてどんなに良かったかと思う。

「野菊」を聴くと小学校の庭を思い出す。
秋の運動会の“遊戯”の曲目だったのは何年生のときだったろう?
「薄紫よ~」で、気取って中空を見上げてポーズをとる。
学校の屋根の向こうに白い雲と青空、そしてやはり”遠い山から吹いてくる小寒い風”が頬をなでた。

こういう風が吹いてくると家に帰った時にだれもいないことがさびしかった。
冬は朝こたつの灰の中に埋めていった炭が消えていないとホッとして、ふ~ふ~、灰神楽になりながら炭ツギをした。
今でも、夕方外にいてこういう風が吹くと、あの、家族の明かり・ぬくもりが恋しい感覚がよみがえる。
太宰が怖がった“家庭の団欒”への郷愁だ。

今週は故郷で小学校の同級会がある。
あの遊戯は何年生のときだったか皆に訊いてみよう。
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(今はお遊戯なんてしない?)

というわけで、まずは祖母から。

旅二十日十八通のたより来ぬ有難きかな娘のこころばえ

 筆まめな祖母でありその子、叔母だった。
俺も小学校の頃から週に一度は葉書を書いた、祖父に祖母に、大学に行ってからは母に。
今の子は驚かないね、メールなら毎日なんどもだから。

野ほうづにあまき親あり此頃のぢぢばば孫に嫌はるるなり

 俺は大好きだったよ、おばあちゃん!
 母より”あまかった”じゃん。
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恋遥か杖もてよけるゐのこづち

鳩吹くや振返らざる亡夫の影



   
  作詞:石森延男
     作曲:下総皖一
     制作:滝野細道
  (一)
  遠い山から 吹いて来る
  小寒い風に ゆれながら
  けだかくきよく 匂う花
  きれいな野菊 うすむらさきよ
  (二)
  秋の日ざしを あびてとぶ
  とんぼをかろく 休ませて
  しずかに咲いた 野辺の花
  やさしい野菊 うすむらさきよ
  (三)
  霜が降りても まけないで
  野原や山に むれて咲き
  秋のなごりを おしむ花
  あかるい野菊 うすむらさきよ
Commented at 2009-10-21 18:25
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by c-khan7 at 2009-10-21 19:16
野菊、初めて聞きました。綺麗な詩ですね。そして、なぜか猫が寝てます。
小学校の同窓会。担任の先生はお元気でしょうか?
美味しい、お酒をたんと、飲んできてくださいね。
Commented by ginsuisen at 2009-10-21 19:24
そうそう、この歌と「野菊の墓」が連想ゲームのように、野菊=清楚、純心と今だにインプットされています。
Commented by kaorise at 2009-10-21 20:50
わたしもおばあちゃんに随分かわいがってもらいました。
自分のおばあちゃんだけでなく、他人のおばあちゃん達にも、、
今でも年上の女性には何だか好かれます。
だからわたしも、恩返しで年下の女性はなるべく可愛がることにしてるの!
特にけなげで綺麗に生きてる女性、うすむらさきの野菊みたいな、、
可愛くってつい贔屓しちゃうのよね。
saheiさんもおばあちゃんに贔屓されてたのね、きっと。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-21 22:15
鍵コメさん、了解です。楽しみにしてます。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-21 22:16
c-khan7さん、ね、いい詩でしょう。
なぜ猫なんでしょうかねえ。
飲みすぎないようにたんとたんと、、。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-21 22:17
ginsuisenさん、野ばらとはまた違うイメージですね。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-21 22:18
kaoriseさん、私も年下の女性には、、^^。
Commented by たま at 2009-10-21 22:31 x
ムベの実が紅に熟れて落ち、画像最下段の「ハナトラノオ」(花虎の尾)が満開にて、つるべ落としの落日のこの頃、風呂の釜戸からオコタ(炬燵)の種箱に移してその灰に埋めた「ケッスミ」(消炭)の、いかにも穏やかなあったかさとありがたさと、ばあちゃんと亡母の顔のシワを思い起こしました。
Commented by naou7 at 2009-10-21 22:32
>こういう風が吹いてくると家に帰った時にだれもいないことがさびしかった。
なんか解るなぁ〜母が仕事をしていたので、鍵っ子でした。
この季節(暗くなるのが早くなるから)の、特に夕方に寂しさを感じます。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-22 08:55
たま さん、今の家には炬燵がないのです。
狭くなるけど入れようかと、、。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-22 08:58
naou7さん、家々が明るくなって笑い声とか煮炊きする匂いがしてくる。
さっきまで遊んでいた子が「ご飯だよ~」と呼ばれて帰って行っちゃうと弟と二人、暗い寒い家に戻る。
ラジオしかない家では母を待つのはさびしかったなあ。
Commented by cocomerita at 2009-10-22 20:01
Ciao saheiziさん
わかるわ―この人恋しい感じ
なんでか寒くなると、よけい感じる気がする
寒い中、家に帰ると玄関を開けたとたんに母の炊いたご飯の匂いがぷ~~んと、、
待ってくれている人のいる家は、それだけで温かい気がします。
イタリアで独りで住み始めた時、お昼寝をして目覚めた時の静けさが何とも言えず嫌で、テレビをつけっぱなしにして寝た記憶があります。

私も小さい頃カギっ子でした。笑
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-22 21:16
cocomeritaさん、「お帰り!」という声が嬉しいのですねえ。
「いってらっしゃい」も。
Commented by junko at 2009-10-22 22:59 x
そうそう、そうなのsaheiziさん
ウルウルっときちゃうわ、、笑
Commented by 74mimii at 2009-10-23 06:28
ここでも日系の家庭には炬燵が置いてあるのですよ。
うちでも以前のうちでは炬燵を二つ
(一つはネコ用)使っていました。
ここは狭いので置いていませんけど
あったらいいなぁ~と寒くなると思います。
家庭の温かい雰囲気がありますね、炬燵には。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-23 07:50
junkoさん、シンプルライフでしたよ、あの頃は^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-23 07:53
74mimiiさん、猫用のこたつ!まるいのかな。
サンチも布団とかあったかなものが好きでまるまってます。
炬燵買ってやろうかな^^。
Commented by tona at 2009-10-23 10:41 x
「野菊」
以前書いたのですが、私も小学校の秋の運動会の思い出につながります。上級生の遊戯にレコードがないので、私と数人がマイクの前で歌って、上級生が踊ったのです。
あれがなかったら野菊がこんなに毎年よぎらなかった。
運動会の共通した思い出があるので嬉しくなりました。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-23 10:51
tonaさん、テープにとってあればねえ^^。
校庭を吹き抜ける秋の風にも負けずtonaさんの声が響いたのでしょうね。
Commented by 園長 at 2009-10-23 22:28 x
あら、なつかしや。尾山台。
その昔お稽古事で通っていましたよ。週に2回。
駅から某Sスクールまでの間のかき氷屋さんはまだあるかな。
青春時代でしたねー。

そして、おばあちゃんの思い出ってどうしてこんなに
あったかいんでしょうか。
私もおばあちゃんに可愛がられて育った一人です。
母以上に永遠の人です。
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-26 18:14
園長さん、妻がおばあちゃんになれないまま死んでしまったことがとても可哀そうです。
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by saheizi-inokori | 2009-10-21 14:13 | わが母と祖母の遺したまいしうた | Trackback | Comments(22)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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