胡適「日本切腹、中国介錯論」の凄さ 「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」から
2009年 10月 08日
蒋介石が抜擢して1983年には駐米国大使にもなったが、もとは北京大学教授で社会思想の専門家だった。
彼は日中戦争が始まる前の1935年に、「日本切腹、中国介錯論」を唱えた。
彼は日本の攻勢侵略から中国が救われるためには当時の二大強国になりつつあるアメリカとソ連の力を借りなければならないと考える。
しかし、アメリカは海軍増強、ソ連は第二次5カ年計画が完成していないから自ら日本と敵対するのはいやだ。
そういう米ソを日中の戦いに引っ張り込むためにはどうするか?
国際連盟は頼りにならない上に米ソは加盟していない。
イギリスは自分がドイツとの戦いが目前で余裕がない。
さあ、どーする?
胡適の考え。
アメリカとソビエトをこの問題に巻き込むには、中国が日本との戦争をまずは正面から引き受けて、2.3年間、負け続けることだ。満州事変、上海事変、熱河作戦、それまで中国は日本の挑発にのらないようにしてきた、それを、「これからの中国は絶対に逃げては駄目だ」と蒋介石や汪兆銘のまえで断言する。
そのとき中国が覚悟すべき絶大な犠牲の限界は?
中国沿岸が長く占領されるために日本は海軍を大動員しなければならない。
河北、山東、チャハル、、、諸省が陥落し占領されるために日本は陸軍を大動員しなければならない。
長江を封鎖し、財政が崩壊し、天津、上海も占領されるために、日本は欧米と直接衝突しなければならない。
このような苦難に耐えて苦戦を堅持していれば?
満州に駐在した日本軍は西方や南方に移動しなければならなくなり、ソ連はつけ込む機会が来たと判断し、世界中の人が中国に同情する。
英米および香港、フイリピンが切迫した脅威を感じ、極東における居留民と利益を守ろうと、英米は軍艦を派遣せざるをえなくなって、太平洋の海戦が迫ってくる。
1935年の時点で45年までの流れを言い当てている。
加藤はこういう。
私が、こうした中国の政府内の議論を見ていて感心するのは、「政治」がきちんとあるということです。日本のように軍の課長級の若手の人々が考えた作戦計画が、これも若手の各省庁の課長級の人々との会議で形式が整えられ、ひょいと閣議にかけられて、そこではあまり実質的な議論もなく、御前会議でも形式的な問答で終わる。胡適の文章の最後を引いている。
以上のような状況に至ってからはじめて太平洋での世界戦争の実現を促進できる。したがって我々は、3.4年の間は他国参戦なしの単独の苦戦を覚悟しなければならない。日本の武士は切腹を自殺の方法とするが、その実行には介錯人が必要である。今日、日本は全民族切腹の道を歩いている。上記の戦略は「日本切腹、中国介錯」というこの八字にまとめられよう。これに対して日本の傀儡である南京政府をつくった汪兆銘は「胡適のいうことはわかるが、その3.4年の間に中国は共産化してしまう」といい、蒋介石と袂をわかつ。
仲介する国の現実的な目途もなく本土決戦を唱え沖縄、広島、長崎などの犠牲を招いた日本の指導者との違い。
東条は敗戦後も切腹もせず、逮捕されるときにピストルで死のうとして失敗した。
しかも法廷では天皇に責任があるかのごとき証言をして後から修正している。
現場からの不利な情報を握りつぶしレイテ沖決戦をミスリードしたり日本兵のシベリア抑留についてソ連との密約が疑われる大本営陸軍参謀・瀬島龍三は、帰国後1958年に伊藤忠商事に迎えられ、専務、副社長、会長と上り詰める過程で歴代の自民党実力者と深い親交を結び、その人脈から、戦後日本の政財界のブレーン的存在として力を発揮し95歳の長寿を全うしている。
指導者に洞察力・先見性・責任感が希薄でありそれを許してしまう、やさしい日本人なのか。
なんとかダムなんて今までの国土交通省や政府の責任が追及されなければならないのに。
ずるずると、まるで満州事変以降の戦争みたいじゃないか。
100年に一度の洪水に備えるって、リーマンショックのことかっての。
軍官僚も霞が関官僚も自分のやったことに無答責、それどころか華麗なる天下りをして天寿を全うする。
なんとかダムを計画し強引に推進し続けた官僚もきっと今頃どこかの会社や特殊法人でひとごとのようにテレビ報道を見ている、いや後輩に作戦伝授か。
私ね、どうしてベトナム戦争が起こったのか、つい1年ほど前までどうしてもわからなかった。
1年ほど前から、次々そういう本に出会って、やっとわかったの、猛烈な吐き気とともに。
どの戦争も、私たち平民が納得できる妥当な理由などなく、ただの愚かなそして強欲な政治家のこて先、舌先三寸次第だと思うと、なおさら今の政治家の特に日本の政治家の無能さゆえ、不安になるよね。
胡適のような人が、国の指揮を握れば、ロングレンジで健全に成長できる国政が実現するんでしょうねえ。
やっぱり、人って顔に出る。
この人とってもいい顔してる。
1日でゆっくり読めるって本当ですか?
国家というものが悪いのか、そもそも人間とはそういうものなのか。
できればいい指導者に恵まれたいですね。
でも植民地って優れた指導者が侵略していったのですねえ。
でも今日はもう一度あちこち読み直しました。