力のこもったエンタテインメント 白川 道「最も遠い銀河」(上下)
2009年 08月 16日
彼女が白血病を急性化させて死んだのは巨大企業オーナーのバカ息子が覚せい剤を使わせたからだ。
新進気鋭の建築家として名をあげつつある主人公はバカ息子に復讐することを誓う。
光が生まれる朝は誰にも平等だ。日陰に生まれ落ちた人びとは日のあたる世界で幸せをつかむことはできない宿命なのか。
だが、日が昇るにつれて世の中は不平等になってゆく。
男でも振り返るような容貌、建築家としての人並み外れた才能に加えて剃刀のような頭脳、大学時代の友人のみならずかつての不良仲間との誠実な男の友情、権力やコネに媚を売らない気風、建築界のボスの妻も道具として使い捨てる非情、スーパーマンのような主人公。
死んだ恋人と瓜二つの美貌の社長令嬢(仇の兄)、不幸な星のもとに生まれながら彫金芸術で一流になる在日の美人、二人が主人公に寄せる熱愛の行方は?
まるで”物語のように”不思議な偶然が綾なして翻弄される男と女。
小樽署の刑事を引退した男が癌におかされた身体をだましだまし執念の“捜査”を続ける。
男を追い詰める元刑事が男に惚れる。
その元刑事に俺が惚れる。
ヤクザの抗争、建築コンペの舞台裏、名門家族の生活、、これでもかこれでもかと“物語”を膨らませて一冊の小説にはもったいないくらいだ。
だから書き下ろし2510枚、1000ページになった。
最後まで読ませるのは主人公と元刑事に託す作家の思いが深いから?
俗にいう”夏休み、緑陰の昼寝の傍ら”に最適かな(俺は年中休み、緑陰もないけれど昼寝はある)。
ところで”熱中症”って昔はいわなかったね。
最初、みんな何にそんなに熱中するんだろうと不思議に思った。
本に熱中するのもよくないのかな。
幻冬舎 創立15周年記念書き下ろし作品
でもサンチに読んであげても分からないものねぇ~
うん、この刑事、小三治に似ているのかな。
でもね私の友達プードルのチャッピイったら、毛を刈りすぎて
「何犬ですか?」って聞かれる始末らしいよ!
チャッピイったら全身地肌スレスレのスポーツ刈りでございました。
熱中してsaheiziさんの感想読んでいましたら、
突然、いいタイミングでサンちゃんが出現!
その切ない表情に、横たわる姿に、思わず、釘付け!
あらら、こちらに、熱中してしまいました。
白川氏の作品、眠るのを忘れて読んでしまいそうです..。
でも損したとは思いません。